人生は「迷いと決断」の組み合わせ、繰り返しでできている。

今から5年前。私は看護学校の学生だった。幼い頃、テレビを通してみる看護師の姿に憧れを抱き幼稚園の頃から「将来の夢は?」と聞かれると迷わず「看護師です。」と答えるほど私の中で看護師になる事は明確な夢だった。夢を叶えるため、というよりはその当時の私は看護師以外の職業に興味がわかず、目も向けていなかった。そのため当たり前のように看護学校へと進学したのである。

 

看護学校での生活は大変な事もたくさんあったが、それなりに楽しかった。何より充実していた。朝から夕方まで毎日授業。テスト前は頭に叩き込むように暗記物を覚えた。技術試験前は看護で必要な患者さんへの介助や注射など何度も何度も体に染みつくまで繰り返し練習した。時には友達と買い物へ出かけたり、カフェで日が沈むまで夢中で話しをしたり、深夜カラオケへ行ったり。友達と楽しく過ごす時間は勉強に追われる日々の中で至福の時間だった。

 

そんなある日、私はこの生活に少し違和感を感じるようになっていた。今ではインスタグラムは誰もが知っているSNSの1つである。しかしその当時、インスタグラムは普及し始めた頃。私も「みんなやっているから。」という単純な理由から始めてみることにした。これが私の転機のきっかけの1つなるとはその頃1ミリも思っていない。

 

なんとなく始めたインスタグラムであったが、そこには驚くほど私の知らない世界がたくさん広がっていた。これまで「看護師」という職業にしか目を向けておらず、それに向かって直進しかしてこなかったが、世の中にはたくさんの職業がある。世界には見た事のない景色がたくさん広がっている。インスタグラムを通しこれらを知った時、私の中にあった違和感が少し溶けたような感じがした。そして昔抱いていた海外生活への憧れをふと思い出した。

 

こんな生活が続き3年目の春。就職先を決める時期となった。一般的に言う「就職活動」だ。3年前の私なら何も迷わず、就職の道を選んでいたと思う。しかしその時の私は就職することへの「迷い」があった。「このまま就職していいのだろうか?」「もっと広い世界がみたいな。」と思う反面、「今までずっと夢に抱いていた看護師だから。」「将来や金銭面の事を考えると看護師は安定している。」「海外に行ってどうする?帰国後は?」たくさんの事が頭の中で目まぐるしく動き回った。

 

1人では抱えきれなくなり、学校の先生へ相談すると「就職した方がいい。」と言われ、友人へ相談するとある友人は「一緒に就職して頑張ろう!」ある友人は「やりたいことがあるなら挑戦してみたら?」という回答が返ってきた。もちろん家族にも相談した。祖母は「若いうちは働きなさい。」と就職する道を勧めてきたのに対し、母は「1度きりの人生なんだから、若いうちに好きな事をしなさい。」と。たくさん相談したが私の頭の中ではグルグルとあらゆる答えが動きまわったままだった。

 

そこから悩み続け、数日いや数週間。

たくさんの人に相談したが回答はバラバラ。悩みに悩んだ結果、最終的に『自分の人生は自分で決断する』という考えに行きついた。その結果看護師ではなく世界に飛び出す事を決意した。知らない世界に飛び出す決断は不安で怖かった。しかしこの時、幼いころから憧れていた看護師より、私は「世界」という私にとって未知なる場所に強い興味を抱いていた。

 

卒業後、友達が就職する中私はたった1人海外へと飛び出した。海外での生活はたくさんの出会いがあり、楽しい事、辛い事、日本ではできないような経験を多く積むことができた。あの頃は想像もできなかったが現在も海外で生活を送っており、さらに外国人の彼氏もでき結婚しようとしている。

愛する人ではあるが外国人と結婚する事は簡単な事ではなく、不安や悩みがたくさんある。そして私は再び大きな決断をしなければならない。

 

人生には多くの「迷いと決断」がある。そして人生は「迷いと決断」が組み合わさって作り上げているような気がする。今までたくさん迷い決断してきたように、これからの人生もきっとたくさんの「迷いと決断」が待っているのだろう。